皆さま、こんにちは、大和市鶴間にあるスギヤマ歯科医院、院長の杉山順一です。
さて皆さま!もしかして唾液と聞くとなんか汚いものというイメージをお持ちではありませんか?
実は唾液は縁の下の力持ち、気が付きにくいですが日常生活にとおいてとても素晴らしい働きをしているのです。
今回はそんな唾液の素晴らしいところをご紹介します。
1、唾液のでき方
唾液は耳の下、あごの内側、そして舌の下にある「唾液腺」で作られていて、1日に1.0~1.5リットルもつくられます。
夜眠っている間は日中に比べて作られる量が減ります。
2、唾液のはたらき
唾液は口を潤すためだけに分泌されているわけではありません。
唾液のはたらきについてご紹介します。
ア)粘膜保護・潤滑
唾液が歯や口の中の粘膜を覆うことで、細菌による刺激や感染、歯の脱灰(歯のエナメル質が食べたものの中の酸で溶かされること)を防いでくれます。また、潤いによって舌や喉の動きがなめらかになり、食事や会話がスムーズになります。
イ)自浄
唾液は、口の中の細菌や食べ物のカスを洗い流す役割も担っています。これを唾液の自浄作用と呼び、この作用はとくに食事中の咀嚼行為によって活発に行われます。
ウ)水分平衡
呼吸や会話をする度に人の口の中は乾燥します。乾燥したままでは細菌が繁殖しやすくなるため、口は常に潤いが必要です。唾液の分泌は口の中の水分量を調節する役割があり、これを水分平衡と呼びます。
エ)PHの緩衝と歯の再石灰化
唾液に含まれる炭酸・重炭酸・リン酸などの成分は、口の中のpHバランスが酸性・アルカリ性のどちらかに傾かないよう、常に調節をしてくれています。口の中の細菌は食物のカスを分解する時に酸を発生させ、この酸が歯の脱灰を起こして虫歯をつくることになります。しかし唾液が食後の口の中のpHバランスを整えることで、歯の脱灰を修復(再石灰化)してくれているのです。
オ)消化
唾液中に含まれる消化酵素アミラーゼは、デンプンと反応して麦芽糖へ分解します。よく噛むことよって唾液が食べ物と混ざり、消化を助けています。
カ)組織修復と感染予防
上皮成長因子と神経成長因子が含まれる唾液は、組織修復による傷の治癒を促してくれます。「ケガをしたときにツバをつけておけば治る」という考えは、この組織修復のはたらきによるものです。
また、唾液に含まれる免疫物質のIgA(免疫グロブリンA)の働きも大切です。口の中に侵入してきた病原体は、IgAがくっつくことで無力化されます。細菌だけではなくウイルスにもはたらくため、風邪やインフルエンザなどウイルス性の病気の発症を防いでくれています。
3、まとめ
いろいろな病気やそれに対して処方される飲み薬の副作用で唾液の分泌量が減ってしまう場合があります。
また、特に病気でなくても、ストレスなどでも唾液の分泌量は減少します。
そして唾液の分泌が減ってしまうと口の中が乾燥するため細菌が繁殖しやすくなります。
細菌が繁殖すれば口臭や虫歯リスクが高まる他、体内にも侵入しやすくなり、風邪など全身の病気につながりかねません。次にあげるような日常生活でできる唾液を出す工夫をしてみて下さいね。
・よく噛む
・水分補給をする
・口呼吸ではなく鼻呼吸を意識する
・お酒やたばこを控える
・唾液腺マッサージをする