皆さま、こんにちは。大和市鶴間にあるスギヤマ歯科医院、院長の杉山順一です。
食欲の秋になりましたね。でも食欲を満たすためにただ食べるだけでなく、おいしさを感じながら食べることができるといいですよね。味もそうですが食品の持つ歯ごたえを感じながら食べることができるとおいしさにつながります。
さてしかし、歯の神経をとる治療(根管治療)をした方は要注意です。根管治療をした歯は歯の質自体が脆くなってしまっているので、噛んだときの力で歯が欠けたり、ひびが入ったりしてしまうことがあります。
今回のブログは、この歯のヒビ、「歯根破折(しこんはせつ)」についてです。
歯根破折とは?
歯根破折とは、歯の根っこにヒビが入って割れてしまうことを言います。
歯は歯ぐきから出ている見える部分(歯冠)と、歯ぐきの中に埋まっている見えない部分(歯根)からできています。この歯根の部分が割れてしまったりヒビが入ってしまったりすると、歯ぐきに膿みが溜まってきて歯全体がぐらついたり、痛みが出たりします。
稀に横に割れた時は歯を残せる可能性がありますが、ほとんどの場合は縦に割れてしまうため、歯を残すことが難しく抜歯せざるを得ないという結果になります。
歯根破折の原因は?
歯根破折の原因はいくつかあるので挙げてみます。
1. 強い力で噛む人
硬いものを強い力で噛むと歯に瞬間的にとても大きな負荷がかかり、かかったその力の方向によっては歯根が割れてしまいます。
また、歯ぎしりを頻繁にする人はしない人と比べて持続的に歯にかかる力が大きくなるため、どこかで割れてしまうリスクが高くなります。
2. 根管治療を受けた歯
虫歯が進行して根管治療(歯の神経を取る治療)を受けた歯は、神経といっしょに血管も取り除いてしまうため歯が脆くなり、強い力がかかると割れやすくなります。
3. 硬いものをよく食べる人
硬いものを好んでよく食べる人はそれだけ歯に対して強い力がかかる頻度が多いため、歯が割れやすい傾向があります。
歯の詰め物、被せ物が合っていなかったり、加齢のため歯がもろくなったりしている場合に割れやすくなります。
歯が折れてしまうとどうなるか?
歯根にヒビや割れ目ができて1週間ほど経過するとそのヒビに沿って顎の骨が溶け始めます。骨が溶けてできた空間には細菌の溜まり場ができて膿んでしまい、痛みや腫れがだんだん増えてきて、結局は抜歯が必要になります。
また、歯根が割れる瞬間には「パキッ」という音がすることもありますが目立った衝撃や音がなくて割れるケースもあります。
割れた瞬間に全く気づかずにその後徐々に歯の痛みや歯ぐきの腫れがでてきて異常に気づくことも少なくありません。
歯根破折を予防するには?
歯根破折はなかなか自分で予防するのは難しいです。しかしリスクを減らすためにできることを挙げておきます。
- 硬いものを無理に噛まない
- 根管治療を受けた歯に無理な力が掛からないように噛み合わせを調整しておく
- 歯ぎしりがある人は、ナイトガードを使う(ナイトガードは保険内で作成することが可能です)
- 定期検診などによって、むし歯がまだ小さいうちに早期発見して神経を取らない治療で済ませる
まとめ
歯根破折は一旦起こってしまうと残念ながら歯を失うことに直結してしまうことがほとんどですが、本当に小さいヒビの段階で早めに気づくことができれば対処が可能な場合もあります。
普段から定期的に歯科検診を受け、歯に無理な負担をかけないようにすることが大切です。歯を長く健康に保つために、少しでも気になることがあればお気兼ねなくご相談くださいね。