皆さま、こんにちは、大和市鶴間にあるスギヤマ歯科医院、院長の杉山順一です。
入れ歯は毎日使っているとどうしても不具合が生じてきます。
なんか今までと感じが違うなと感じた時は、持参して下さればある程度は調整することが可能です。
しかし、入れ歯本体が割れてしまったり、バネが折れてしまったりすると、応急修理が難しい場合もあり、新しく作り直すことになるケースもあります。
そういったことを考えて「入れ歯のスペアを作りたい」とご相談いただくことがあります。また、「飼い犬に噛まれて壊される」、「スペアがないと不安で仕方ない」「ティッシュに包んでおくとゴミと間違えて捨てられてしまう」といった理由から、予備の入れ歯を手元に置いておきたいと考える方も少なくありません。
そこで、保険治療で入れ歯のスペアを作ることはできるのか、またそもそも入れ歯のスペアを作っておく必要はあるのか、についてお話しします。
1、保険治療で入れ歯のスペアを作ることはできるのか?
保険の入れ歯は一回一回型を取って手作業で作ります。
新しく1つの入れ歯を作るには、新しく1つ型を取ることが必要になります。
時々、以前に取った型でもう一つ作って下さいと言われることがありますが、お気持ちはよく分かりますが実際はそれは作業上無理なのです。もう一度来ていただいて、また新たに型を取って作ってゆくことになります。
また、保険では同時に2つ型を取って2つの入れ歯を作ることは認められません。あくまでも1つしか作れません。また、新たに入れ歯を作製するには前回作ってから6ヶ月以上経過していないといけないというルールもあります。
例えば下記のような理由があっても6ヶ月以内には保険では新たに同じ入れ歯を作製することはできません。
- 入れ歯を紛失してしまった
- 1つ作ったがどうしても入れ歯が合わないのでもう一度作りたい
- 前回作った歯科医院とは別の歯科医院で作製したい
- 入れ歯の形や材質を変えて作製したい(保険で認められている範囲で)
ですから一度入れ歯を作った後、6ヶ月待っていただければ同じ入れ歯をまた保険で作ることは可能です。
例外として、前回作製から6ヶ月以内であっても、新たに歯を失った場合や新たに歯が抜けた場合には、保険診療で新たな入れ歯を作製することができます。
保険治療ではこのようにスペアの入れ歯を作ることはできないのですが、入れ歯のスペアがどうしても必要な場合は、保険ではなく自費であれば作ることは可能です。
しかし、自費診療の場合には全額負担となるために、費用は高価となります。
2、そもそも入れ歯のスペアは必要なのか?
通常、一つの入れ歯を毎日使っていると歯ぐきの形もある程度その入れ歯に合ってくるので、夜寝るときに外しておいても、翌朝すんなりとはめることができます。
それに対してスペアの入れ歯は通常は毎日使うわけではないので、いざ使おうとしてはめてみると歯ぐきの形が微妙に合わないため、せっかくスペアとして作っても結局うまく使えないことが多いです。
それでも歯がないままよりは良いかもしれませんが、私たちから見ると決してうまく噛めるものではないという感じはします。
とっさの時に歯がないままよりはまだマシ、という割り切りで使うのならばスペアの入れ歯を持っておくことは悪いことではないと思います。
3、まとめ
基本はスペアを作る前に、入れ歯を紛失しない対策が大切です。
- 入れ歯を外した時はポケットなどに入れないで入れ歯ケースに必ず入れる
- 外した時に入れ歯を置く場所を自分でわかるように決めておく
- 入れ歯を洗うときには落としたり流したりしてしまわないように、洗面器などを用意してその中で作業する
スペアの入れ歯であっても1日おきや2日おきなどにメインの入れ歯と交代で使っておくことで、はめた時の違和感を多少減らすことはできます。
保険治療ではなく自費治療であればもう一つ入れ歯を作ることは可能です。
自費治療は全額自己負担になるため、仮に保険と同じ素材で作ったとしてもかかる費用は高額になります。
いかがでしたでしょうか?
私たちは出来るだけ皆さまのご希望ご要望に添えるように考えながらアドバイスをしています。些細なことでも構いませんので、お気軽に相談して下さいね。